質量欠損現象から導いた物理,宇宙構造
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第1章.質量エネルギー保存則の整理
これまでの精密な測定により質量とエネルギーの総和が不変であることは周知の事実である。これはエネルギーにおいては熱力学第一法則またはエネルギー保存則とよばれている。 また質量とエネルギーが等価変換できるという事が相対性理論により提唱され、この等価変換した質量を含めた場合に「質量エネルギー保存則」と呼ばれている。(粒子として扱う場合には運動量−質量保存則) 我々が実際に観測できる範囲では、この法則が破られている事態は全く発見されていない。時間が一定で経過していると見なせない場合や空間が平坦と見なせない場合などは厳密には成り立たない場合もあるが、広範囲の閉鎖系としてはほぼ完璧に成立する。 1-2.結合により結合エネルギー相当の質量が欠損する たとえば物体Aと物体Bが何らかの場(電磁場,重力場など)より力を受けて結合する場合を考える。両者が結合(結合とは完全な合体以前の状態も指す)することにより、その結合エネルギーEfに相当するエネルギーが放出される。 すると結合後の物体Aと物体Bの質量和は元の質量からΔm=Ef/c^2 という式から換算される質量が無くなったと観測される。このΔmを質量欠損と呼んでおり、広く認知された現象である(特殊相対性理論より)。 例えば酸素と水素が化学結合すると多量の熱エネルギーEfを放出して水分子ができる。すると、できた水分子の質量は元の酸素と水素の質量総和よりもEfに相当する質量(Ef/c^2)が欠損している。 逆に水分子を電気分解して酸素分子と水素分子に分けるには、Efに相当する電気エネルギーを供給しなくてはならない。この場合にも、できた酸素分子と水素分子の質量総和は水分子の質量総和よりもEf相当の質量が増加している。 つまり 2H2+O2=2H2O+Ef となり、この等式は両辺の単位をE=mc^2の法則で質量又はエネルギーに換算して単位を揃えれば厳密に成り立つ。 これは見かけ上も実質的にも質量の一部がエネルギーに変換され、更にエネルギーが質量に変換されたと解釈される。そしてこの現象自体の認知は現在ではほぼ常識化している。 しかしこの質量欠損は通常極めて小さいので日常生活ではもちろん、かなり精密な測定を行っても、これを意識することはない。化学結合より百万倍も大きな核エネルギーの放出時でさえも質量欠損の値は0.1%〜1%程度である。 1-3.結合エネルギー放出による質量欠損に関する思考実験モデル 下の思考実験-1.のような仮想実験装置を想定する。そして物体Aと物体Bには結合力が働くとする。この力はイメージしやすくするために例えば磁力としてもよい。つまり物体Aと物体Bは強力な磁石である。ここで両磁石の結合エネルギーをEf とする。( Ef =結合エネルギー=ポテンシャルエネルギー) 両者は引き合い、その力で発電モーターを回転させる。物体はヒモで発電モーターにつながっており、ゆっくり結合していくので運動量は無視でき、結合エネルギーは全て発電モーターで取り出せるものとする。 両物体が近づくにつれて発電モーターが回転してエネルギーを取り出す。すると各物体の質量は取り出したエネルギー相当分が減少する。取り出したエネルギー総量はその状態における両者の結合エネルギーに等しい。 当然の事ながら結合エネルギーが大きいほど、この質量減少(質量欠損)も大きくなる。これはこの法則より帰結される当然の結論であり疑問の余地はない。 思考実験−1. 次に発電モーターにエネルギー(電力)を供給して両者をゆっくり引き離していく。完全に引き離すまでには両モーターにEfに相当する電力を供給しなくてはならない。完全に引き離されると質量も元の値に回復する。つまり供給された電力エネルギーが質量に変換されたかのように観測される。 原理的なことを検討する思考実験だから発電モーターの変換効率は100%とし、ロープや発電モータの質量はゼロとし、その他の摩擦ロスなども一切無視する 目次へ 第2章.質量の完全消失へ