前章の結論をふまえ、本章での結論としては電子と陽電子が電気力で結合すると、結合エネルギーが両者の真の質量と等しくなり、両者の質量が完全に消失すると結論する。(慣性質量保存則よりエネルギー項のみの存在になる。具体的には光子エネルギーになる)
しかし前章での結論のとおり重力作用に関係する真の質量M0は変化しないので重力作用は消えない。この電子−陽電子結合体は非常に小さな重力作用しか持っていないが、その数が膨大である可能性が高く、この宇宙の振舞いに大きな影響を与えている可能性がある。
また陽子と反陽子も同様に結合により一体化し、核力,電気力による結合エネルギーがそれらの総質量に等しくなることにより質量が完全に消失する。中性子,反中性子の場合も同様である。
これらハドロン結合体の真の質量は電子−陽電子対に比べ圧倒的に大きい(約1600倍)ので、1個あたりの重力作用も格段に大きい。
この宇宙に存在するはずだと予想されていて、まだ発見されていないmissing massが前記した消失質量だとすれば、おそらく全て説明がつく。
ブラックホールはそれ自体が時間速度比がゼロの重力場に落ち込んでしまったものである。ブラックホールはその生成過程ですべての重力結合エネルギーを外部空間に放出してしまった場合には慣性質量がゼロのブラックホールもありえるが、ブラックホールはその特殊な空間構造によりエネルギーをも閉じ込めることかできるため、それなりの慣性質量(受動的重力質量)を持つものが通常であろう。
|